「アイディアを出し合える風土は人間関係のよさがあるから」
若年者が定着し、成長し続ける企業の3つのポイントについて森社長にお話をお聞きしました。
◼︎若手社員を育む社内コミュニケーション
Q:御社のホームページを拝見すると「ものづくりは ひとづくり 夢づくり」という社訓が一番最初に目に飛び込んでくるんですが、この言葉には社長のどのような思いが込められているのでしょうか。
A:︎仕事は「会社に来て決められた時間、製品を作る」だけではありません。
そこには人との出会いやつながりがあり、その人間関係を何よりも大切にして、一緒になって成長したいと考えています。
だからこそ、大切な社員には夢を持って欲しいと思っているんです。夢があるからしんどいことも乗り越えられるわけですし、頑張れるのではないでしょうか。
例えば好きな車を購入したい、家を建てたい、しっかり稼いで家族を養いたいなど、夢は一人一人違うと思うのですが、それぞれの夢の実現に向けて一緒に頑張れる会社でありたいですね。
Q:一人一人の夢を応援するためには、互いに夢や思いを理解し合うことが大切ですね。
A:︎そうですね、一緒に働く仲間としてお互いのことに興味を持ち、「もっと知ろう」とする気持ちが大切だと思います。
例えば、製造現場では昼休み以外にも短い休憩時間があるのですが、そこでちょっとした会話を楽しんだり、笑い合ったりしています。
普段の何気ない会話から、趣味のことや誰かがはまっている遊びの話になったり。何でも話せる雰囲気が日常的にあることで、お互いのことを知る機会は多くなりますね。
Q:そうした雰囲気や人間関係のよさが、ここ3年の「離職率ゼロ」につながっているんですね。
A:はい、それもあると思います。中でも、管理職4人が若手社員と非常にいい関係性を築いてくれていることが大きいですね。
親しみやすさと、仕事を指導するときの厳しさ、その両方を持って接してくれているので、若手社員も頼りにしているようです。
何か困ったことがあったらサポートしてくれるという信頼関係が、新人の定着につながっていると思いますね。
◼︎多方面からの厚い信頼と成長の秘訣
Q:奈良県で初めて「経営力向上計画中小企業経営強化法」認定を受けたということですが。
A:当社はここ10年であらゆることにトライして大きく成長してきたので、その取り組みが認められたのだと思います。
最も高度な品質基準を設けている自動車業界の部品を扱うことで全体の水準と精度が上がり、それによって他の業界からも信頼を得ることができました。
さらに、効率よく低価格で製造するための工程を常に考え、改善を徹底したことで、知識と技術が構築されてきました。
こうした、高い品質へのこだわりと迅速で柔軟な対応、豊富な知識と経験が私たちの強みだと思っています。
Q:取引先からの信頼は「提案力」と「自由な発想」にもあるということですが、意識的に何かされていることはありますか
A:そうですね、「私たちらしさ」は大切にしています。
言われたことをするだけでは、どこに頼んでも同じということになってしまいます。
「M.T.Cに頼んで良かった」と思ってもらうためには、取引先が気づかなかった視点、誰も考え付かなかった発想力を持って新たな提案をすることが必要になってくるわけです。
そのためには、常に「もっと他にいい方法はないか」といろいろな観点から考えることや、「遊び心」を持つことが大切ですね。
仕事以外のことからヒントを得ることはたくさんありますので、普段から新聞やインターネット、仕事以外の遊び、いろいろな人の話から、情報を得ておきたいですね。
そうすると仕事で行き詰まった時に視点を切り替えられて、アイディアが湧いてくるんです。
Q:「遊び心」を持てるように、仕事以外のことにもアンテナを張っておくことが大事なんですね。
確かに、ベトナム人実習生の採用にスカイプを活用するなど、発想が柔軟ですね。
A:スカイプでの面接を取り入れている企業はまだ少数派。でも、スカイプ面接の話を聞いたときに面白いと思ったんです。
それになによりも効率的。ベトナムまで行かなくても画面を通じてコミュニケーションはとれますし、お互いのよさは伝えられますから、十分面接が成り立ちます。
「こうでなくちゃいけない」と決めつけずに「他に方法はないか」と考え、よりよいアイディアを出し合う、採用でも仕事でも大切な考え方です。
人を大切にし、一人一人の夢の実現をサポートすること。
既存のものにとらわれずに効率のよさ、よりよいものを考える向上心。
そして仕事以外の時間を大事にして得た「遊び心」や「発想力」を仕事に活かすこと。
人材定着や成長の秘訣はこの3つのポイントにありました。