10年後の奈良を創る人を育てる

2017-08-07

対談「若年層が集まる奈良になるための可能性」

株式会社 奈良日日新聞社 代表取締役社長 藤山純一

徹底した調査報道を基本理念に、政治、行政、経済を中心に話題性のある問題に焦点を当て、より深く、より詳細で読み応えのある新聞を発行している。

MNキャリア代表 キャリアコンサルタント 高橋紀子  

中堅・中小企業や自治体で、若年者の採用&育成コンサルティング、女性活躍支援を行うほか、大学や短大、専門学校でキャリアの授業も受け持つ。

若年層が集まる奈良県になるために

高橋:奈良県は学生の県外就職率がとても高いですね。学生は県内の優良企業に気付かず、また企業側もそんな学生をうまく採用できていない、という状態は本当にもったいなく感じます。

藤山:県外に就職する理由は、奈良に企業自体少ないことが挙げられますね。本社が県外へ出てしまう企業もありますし。その大きな要因の一つが交通網。大阪まで30分という好立地から「大阪のベッドタウン」として発展してきた側面もあるのですが、奈良県内への通勤となると意外に不便です。

県内移動は時間も交通費もかかるため、買い物も県外で、ということもあり県外消費率は全国第一位。県内の経済レベルがなかなか上がらないわけですね。

だからこそ、行政を含め、企業は現状をよしとせず、より商業規模を大きく広げていくなどの努力が必要です。

高橋:もっと成長意欲やアグレッシブな姿勢を持つべき、ということですね。

藤山:そうですね。それでもここ10年程の間に、やっと経済が上向きになってきましたよ。

高橋:その転機となった要因は何でしょうか?

藤山:起爆剤となったのは、おそらく観光面です。奈良に宿泊しない観光客に宿泊してもらえるよう努力をしてきました。例えば「なら燈花会」もその一つ。いまや奈良を代表するイベントとなり、毎年たくさんの観光客で賑わっています。

また、文化財に対する意識も変化しました。それまで「保存」の一点張りでしたが、ようやく「開発と保存の両立」が叫ばれ始めました。貴重な文化財を保存しながらも、便利さを求め開発していくという方向を探るようになってきました。

この流れから、ようやく人や物が奈良県の中で動き始めました。経済を発展させようという意欲があれば仕事も生まれてきますし、そうなると学生ももっと県内企業に目を向けることになるでしょうね。

 

決め手は情報発信力!

高橋:以前「王寺のミライをツクル100人会議」でディスカッションをしたのですが、そこで「人を集めるためにはターゲットをもっと絞って考えていくべきでは」という意見がありました。

つまり、誰に対してどういう情報を届けると企業のイメージ・業績アップにつながるかということをきめ細かく分析し、考えていくことが大切だと。やみくもに企業の魅力をアピールしても、その情報がピンポイントで欲しい人に届かなくては意味がないですよね。

藤山:そうですね、まずは情報発信力を高めることが一番です。企業がいかにして情報を発信するか、これにつきます。奈良には100年も続いている素晴らしい伝統産業があり、それに関連した仕事はもちろん、さまざまな技術やサービスを提供する企業があります。

実は働き口がいっぱいあるのです。それらの魅力が認知されるように、もっと情報発信力を高めていくべきですね。我々は地元紙として、そのお手伝いができないかと思っています。

高橋:企業様にコンサルティングに行くと、「魅力的な情報発信を自社内でしたいけど、人材不足で難しい」というところが多いですね。専門知識を持った者が外部のブレーンとして企業をサポートする、という形がいいのではないでしょうか。

藤山:そこで我々が考えているのが、企業の情報発信冊子の発行と、ウェブ発信です。それも単なる紹介ではなく、その職場をいかに「魅せる」か、ということがポイントです。

若い人たちがそうした情報に気づいて魅力を感じ、職場を体験するという流れができれば、実際の仕事に関わる中で面白さを感じ、そこで働こうと思うのではないでしょうか。

 

まだまだある!奈良の可能性に注目

藤山:空き町屋の利用も経済活性化の可能性があります。県外から来た若い人たちが、町屋を利用し、古都の町並みにマッチした民宿や、お店を開業しています。

働く場が増えるということになりますね。行政もその受け入れ態勢を積極的にアピールしていますし、補助金を出して幅広い就業支援や積極的な企業誘致を進めています。

その一方で、何十年と奈良で頑張ってきた企業が外に出てしまうのも事実で、行政はそれを止める対策も必要です。

高橋:それは1つの企業という単位で見ても同じことですね。現在働いている社員を大切にしつつ、新しい人を入れて育てていかなくてはならないので、その両輪が必要ですね。

藤山:そうですね。さらに、活性化ということでは吉野杉や檜などの県産材を消費することもその一端です。実際、行政が補助金を出して、一般住宅の建築に県産材使用を推奨しています。

また、「学校図書館木質・活性化支援センター」というNPO法人では、奈良県の杉材を使用し、奈良県内の小中学校の図書室を木質化する取り組みをしています。子どもたちには、木に囲まれた落ち着いた空間で活字に親しみ、創造力を養ってもらいたいですし、それによって県産材の消費を拡大することにもなります。

県産材の需要が増えると手頃な値段となり、さらに林業が発達し、林業従事者も増える・・・この需要と供給のバランスで経済がうまく回るようになるのです。

高橋:奈良の現状や企業情報は、若者はもちろん、親世代にもうまく届いていません。親自身が大阪へ通勤している方も多く、奈良で働くメリットがうまく伝えられないのではないかと思います。

藤山:企業も親も学生も現状をよく知り、情報を共有するべきです。学生はまだ先が見通せていないので、親は子どもに長期的な視野でアドバイスをしてあげられるといいですね。

現在の奈良は、大阪への交通網の利便性が県内へと循環し、交通網が整ってきましたし、京奈和自動車道もできて南へのアクセスもよくなりました。県内への通勤もしやすくなったのです。これによって経済が活性化し、これからさらに奈良が発展する可能性は大いにあります。

 

奈良を創る。提案力と感性で

高橋:御社で活躍している方に共通点はありますか。また、今後はどんな人材を採用したいとお考えですか。

藤山:営業でも記者でも、我々の業種で大切なことは、感性が豊かで鋭いこと。情報を素早くキャッチして分析し、ひとつの「モノ」に仕上げていく。その感性をさらに磨いて蓄積している社員は、どの職場でも輝いていますね。

また、一番欲しい人材は「提案力」がある人です。何がしたいのか、それには何が必要か、それを達成したらどうなるのかを自分で考え、自分で発信する「提案力」を持っている人ですね。失敗を恐れず自ら行動していく提案であれば会社は資金を出しますし、環境も必要なら作ります。

どんどん提案してくれる積極的な人材なら、一生懸命フォローしたいと思っています。

高橋:自ら考え発信していく、そんなポジティブな提案力はまさにこれからの社会に必要な力。失敗や周りの反応を恐れる若い人は多いですが、それを打ち破って「力」を身につけ、これからの奈良を創り上げていってもらいたいですね。「ならキャリア.net」もサポートしていきます!

 

 

 

カテゴリー : CAREER TALK
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作成者 : ならキャリア.net